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2025/06/06 11:27 |
酒と思い出
すっかり日も暮れ、辺りは闇に包まれている。
そんなアチェスタの町の一角にある小さな酒場は、酒場とは思えないほどの静けさを保っていた。
原因は、客が一人の少女しかいないから。正確に言ってしまえば、その少女が客として入っているから、になるのだが。
少女はとても目立った。美しい容姿を持ち、腰まで届く長い銀髪も十分に目を引くものがある。
ただ、彼女の右目はさらに目立った。まるで竜を思わせるような、縦長の瞳孔を持つ金色の目なのだ。
竜眼のエリス。この町で、彼女の名前を知らぬ者はいない。

そんなエリス自身は、酒が特別好きと言うわけでもない。ただ、時々飲みたくなるのだ。
彼女が所属するギルド、ドラゴンスレイヤーにも酒場としての機能はある。
しかしそこで酒でも飲もうものなら、エリスの親代わりをしているギルドのマスターに何を言われるか分からない。
最近では突然家に転がり込んできた居候のせいで、ますます酒を飲みにくい環境下に置かれつつある。
それでも、ふと酒を飲みたくなる瞬間がある。
だから、こっそりと家を抜け出して来たのだ。

一人で酒を飲む時間が、今ではすっかり貴重なものになっていた。


エリスに最初に酒の味を教えたのは、彼女が記憶している限りでは父親になる。
「お父さん、何飲んでるの?」
ある時、エリスは父が晩酌をしているのを不思議に思ってそう尋ねたことがある。
そして子供心に、父が飲んでいるのだからきっとおいしいものだと思った。
「エリも飲みたい~」
あの頃は、とにかく父のやることは全てまねしないと気がすまなかった。
そんな娘の気持ちを知っていたのか、それとも酔っ払った勢いか。
父は笑いながら、エリスに飲んでいたコップを差し出した。
エリスは早速それを飲んで見たのだが。
「けほっ、けほっ」
当然小さな子供に酒の味など分かるはずもなく、一口飲んですぐにむせてしまった。
父は目に涙を浮かべならむせる娘を抱き上げると、優しく背中をさすってやった。


あの頃は、どうしてあんなに苦いものがのめるのか不思議でしょうがなかった。

今では、何となく父の気持ちが分かるような気がした。

一緒に飲んでみたかったな。

もはや叶わぬ思いを胸に、エリスはゆっくりとグラスを傾けた。
静かに、夜だけが更けていく。
T君とちょっと話した酒ネタを突発的に書いてみた。
久しぶりに書いたせいで元々ない文章力がさらにダウンしている。

ところで、エリスって酒強そうに見えるの自分だけ?
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2008/07/10 03:19 | Comments(4) | TrackBack() | 村月ささら

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コメント

人間で無いから肝臓強いんじゃね?
あと、文頭にスペース入れたほうがいいかも。
入れなくてもいいけど。
posted by r at 2008/06/21 22:31 [ コメントを修正する ]
久しぶりすぎていろいろ忘れておりました(汗)
次から気をつけます~。
posted by 村月ささら at 2008/06/22 00:51 [ コメントを修正する ]
読んだよ!

そのまんまでびっくりしたよ!

以上だよ!
posted by どっかのこぶんだよ! at 2008/06/23 01:39 [ コメントを修正する ]
人の話したことや設定をそのまま流用が得意技なので(おい)
だから話したことそのまんまに。

まぁ更新は気が向いたらで。
posted by 村月ささら at 2008/06/23 10:32 [ コメントを修正する ]

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